Lava Cameo Brooch

１９世紀ヨーロッパやアメリカの富裕層に人気のあったグランドツアー、人々は教養や冨の象徴としてのグランドツアーに参加した証としてフランスやイタリア各地のお土産品を持ち帰ったのです。中でもイタリア土産として人気のありましたカメオ、カメオはストーンカメオやシェルカメオが一般に有名ですが、こちらは１９世紀イタリアのラーバカメオと呼ばれる珍しいカメオです。

Lava（ラーバ）とはイタリア語でも英語でも溶岩の意味、その名の通り溶岩を彫刻して作られたといわれるカメオです。この溶岩はベスビオ山の噴火により噴き出したもので、ポンペイを旅行した人々のお土産として人気を博しました。旅行者はその土地でしか手に入らない装飾品を身に着ける事で、実際にその土地をを訪れたとわかるような土産物を好んだようです。
ラーバはこの地域特有で豊富に手に入り、硬すぎず彫刻がしやすい素材の為特に多く使用されたようです。他素材のカメオとの特徴的な違いとして、ストーンカメオやシェルカメオの多くが２色なのに対し単色である事です。
いずれも、暗めなアーストーンカラーが多いのですが黒系、ベージュやグレー等様々あります。
単色ですと、浅彫りではあまりはっきりとした陰影が出ない為か、深く彫り込んだ立体的な彫刻の作品が多く見受けられます。逆を言えば、２層のカメオと違い、下の層の露出を気にせず詳細に彫り進めることが出来たのかもしれません。