ダマスキナードの小さな伝統工芸品ペンダントクロス
ダマスキナードはシリアのダマスカスからイスラム教やイスラムの文化と共に、スペインのトレドに持ち込まれた金属の象嵌細工。昔は刀や甲冑の装飾が主な用途でしたが、スペインでは次第に華やかな植物模様や鳥等の柄が施され、スペインを代表する工芸技術として花開きました。大きな物では家具等の調度品の装飾や額、お皿に至るまで様々。現代でも、カフスやイヤリング、ペンダント等のアクセサリーといった小さな品がトレドだけでなくスペインの名産品として作られています。いまでは機械生産の品も沢山あるようですが、職人の手による高度な技術で作られたものは比較にならないほどの素晴らしさです。
ダマスキナードの制作の流れを簡易的にご説名すると、鋼板の表面に金銀の箔が定着しやすい様線彫りを施した上にデザインを描き、そこに24金等の金や銀の箔や金線を当て嵌ます。上からたたいてしっかりと埋め込んだら、高温の薬液に浸け鋼の地板の色を黒く変化させます(金や銀の輝きはそのまま残ります)。その後鏨などで打ってさらに凹凸をつけ、最後に磨き上げます。
家具や調度品等の大きなサイズにこのような繊細な象嵌細工を一面施したと思うと一体どれだけの時間がかかったのだろうと考えてしまいます、それほど技術の高い職人達がいたというのも感動します。
鋼ですので水気に弱く、特にアンティーク等の古い物になると錆止め等のコーティングも剥がれていて錆が発生する事があります、お手入れ方法はたまに全体に油を塗り柔らかい布等で優しく拭きとり、保管場所には乾燥材等を一緒にいれる事をおすすめします。
現地では、時々オリーブ油を塗って、パンで擦って磨くんだそうです。
発祥の地トレドでも職人の数が減少しているとか、伝統工芸技術の継承についての問題は世界共通なんですね。このような素晴らしい工芸技術が失われてしまわない事を祈ります。
こちらは20世紀に入ってからのお品物、スペイン旅行のお土産品として持ち帰られたものでしょうか、イギリスにて買付けたクロスペンダントです。植物模様の中心にはご聖体を入れる器物の様なデザインが施されています。
スタッフT
品番:P-578
品名:メタルダマスキナードクロスペンダント
国・時代(推定):20世紀初期
税込価格:Sold
※ペンダントトップのみの価格です チェーンは付属しません
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